スマートシティにおけるデータ活用の課題とは?外部データ活用も選択肢のひとつ

データ活用によって実現したスマートシティの実現(都市のスマートシティ化)によって現在の都市が抱える課題の多くを解決できると考えられています。そのため、さまざまな自治体でスマートシティ構想や施策が進行中です。
しかし、スマートシティを実現するにはさまざまな課題が残っています。とくにデータの収集や分析、活用の過程における課題は少なくありません。
ここではスマートシティのメリットと、それを実現するためのデータ活用における課題や解決するための選択肢について紹介します。
データ活用型スマートシティから得られるメリット
スマートシティとは、さまざまなデータをICTやIoTなどの最新技術と組み合わせて収集・活用することで、都市の機能を高度化・効率化し、社会課題を解決しながら経済活動を促進する都市のことです。
スマートシティについては、次の記事も参考にしてください。
「スマートシティとは?データを活用した街づくりで住みやすい街になる」
また、実際のスマートシティの事例については、次の記事を参考にしてください。
「スマートシティ国内外AI事例10選を紹介!成功のポイントも」
データ活用により実現されたスマートシティから得られるメリットを、生活者と運営者それぞれの視点から紹介します。
生活者にとってのスマートシティのメリット
生活者にとっては、データ活用による利便性が向上することで、物理的な距離や時間的な制約から解放され、生活の質が向上するというメリットがあります。たとえば次のような例を挙げることができます。
- 業務をテレワークに切り替えることで、通勤時間を削減できる
- 見守り設備やドローン配送の充実などで高齢者が生活しやすくなる
- 病院に行かずに自宅からオンライン診療を受診できる
- 交通量に応じた信号の自動制御により、交通渋滞が軽減される
- 防犯カメラによる異常行動の事前検知により防犯体制が強化される
都市運営者にとってのスマートシティのメリット
スマートシティの運営者にとっては、都市のさまざまな課題に対して、勘や経験だけに頼ることなく、データに基づいた合理的な意思決定が可能になるというメリットがあります。
センサーやカメラなどからは、リアルタイムで膨大なデータを自動的に収集することができます。このデータは、従来のデータよりも即時性・正確性に優れており、都市の状況をより深く理解するのに役立ちます。
データに基づいた分析を行うことで、都市の課題をより的確に把握し、適切な将来予測や解決策を導きやすくなるでしょう。さらに、データに基づいた合理的な都市計画は、住民の納得感を得られ、合意形成を促進する効果も期待できます。
スマートシティ推進におけるデータ活用の課題
スマートシティの実現には、都市のあらゆる種類のデータを活用し、その分析結果から効果的な施策に結び付けていく必要があります。
しかし、データ活用においては、さまざまな課題があります。データ活用における課題を4つ紹介します。
データ取得には工数とコストがかかる
スマートシティでは、街中のさまざまなデータを膨大に収集・取得し、都市計画や運営に利用します。
データ取得には、センサーやカメラなどのIoTデバイスを設置する必要があります。自前でデータを取得しようとすると、ある程度の数を確保したうえで、場所の選定、電源の確保、設置や運用に至るまで、膨大な工数やコストがかかります。
設置数や設置場所が適切でないと、データの質・量が不十分となり、分析結果の精度が低下し、最適な施策の策定が難しくなります。
データ分析の専門知識を持った人材が不足している
データを取得した後は、データの整理と分析が必要です。スマートシティで取得・利用するデータは非常に膨大かつ多様で、分析にも大きな手間と、専門的な知識が必要になります。
しかし、多くの自治体や企業では、データの整理や分析を行うための人員が足りていません。そのため、取得したデータを十分に活かすことができないのです。
データ活用の方法がわからない
データを取得する方法があっても、どのように活用していいのかわからない場合もあります。たとえば、次のような場合です。
- そもそもどんなデータが必要かわからない
- 取得したデータをどのように加工・分析するのかわからない
やみくもにデータを収集しても、課題解決に結びつく分析結果が得られない可能性があります。データ活用の前には、必要なデータの見極めは重要なステップです。また、取得したデータは、そのままでは活用できません。有益な情報を得るためには、分析しやすいように加工し、分析結果から必要な施策を考えるまでの一連の作業が必要です。
データ活用のノウハウや経験がない場合には、適切なデータを選択・収集することも、分析結果から具体的な計画・実践に結びつけることも難しいといえるでしょう。
プライバシーへの配慮が必要になる
スマートシティでは、顔写真や移動経路、目的地など、個人の行動を可視化できるデータが取得されます。プライバシーにかかわるデータが含まれる可能性があるため、データの取得・利活用の目的や方法について住民から理解を得られないままでは、プライバシー侵害や第三者による悪用を懸念され、スマートシティ推進に支障をきたすおそれがあります。
外部のデータやツールの活用も選択肢のひとつ
データ活用のこうした課題を解決するためには、外部のデータやツールを積極的に活用することも選択肢のひとつです。必要なデータの収集・分析にかかる時間や手間を少なくし、効率的にスマートシティの推進を行うことができるでしょう。豊富な経験とノウハウに基づき、データ分析や活用について専門的なアドバイスも受けられます。
たとえば、スマートシティ推進に必要なデータのひとつに「人流データ」があります。
近年のスマートフォンの普及により、位置情報から集計される人流データ「非集計ODデータ」を提供するサービスやツールが増えてきました。
ブログウォッチャーでは、非集計ODデータとそれを可視化するツールを提供しています。データは、許諾を得たユーザから取得した位置情報を用いて生成され、プライバシーに十分配慮のうえ取り扱われています。
交通量調査といったアナログの手法に比べ手間やコストを削減しながら、精度の高いデータを取得できます。たとえば、人がどこからどこに移動したか、どれくらい滞在したかというデータを高頻度に取得すること、さらに性別や年代などの属性情報を付与することが可能です。
データは可視化され、加工しやすいため、より高度な分析に活用することができます。
非集計ODデータについては、次の記事も参考にしてください。
「人流把握に非集計ODデータを活用 都市計画や交通計画の最適化が可能に」
スマートシティでの人流データの活用については、次の記事も参考にしてください。
「スマートシティの実現に向けて活用がすすむ人流ビッグデータとは?そのメリットを解説」
まとめ:スマートシティ実現には外部データの活用が有効
スマートシティの実現は都市の課題を解決すると期待されていますが、データ活用にはコストやノウハウ不足、プライバシーへの配慮など、まだまだ課題が残されています。スムーズにスマートシティを推進するためには、そうした課題を克服した外部のデータやツールの利用も積極的に検討するといいでしょう。効率的に良質なデータの取得・分析を進めることが可能です。
精度の高いスマートシティ計画には、人流の把握が不可欠です。なかでも、非集計ODデータは、正確で解像度が高い人流データとして注目されています。
「プロファイルパスポートDMP」では、非集計ODデータの活用はもちろん、目的に合わせたデータ分析ツールを開発できます。非集計ODデータの活用を考えている場合は、ぜひお問い合わせください。