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意外と知らないGPSの仕組みとは?位置情報を測定する仕組みから用途まで詳しく解説します!

カーナビゲーションやスマートフォンに搭載され、いまや生活に欠かせないものとなったGPS(Global Positioning System、全地球測位システム)。地図が苦手な人でも迷子になりやすい人でも、これを使えば確実に目的地まで行くことができる便利な仕組みです。
しかし、このように便利なGPSでも、その仕組みまではあまり知られていません。

今回はGPSの概要から、衛星を通じて位置情報を取得できる仕組み、ビジネスツールとしても積極的に活用されはじめている事例まで詳しく解説します。 

そもそもGPSとは?

GPS=Global Positioning System(全地球測位システム)の略

GPSとは、Global Positioning System(全地球測位システム)を略した言葉で、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)のひとつです。

衛星を使った位置の測位システムをすべてGPSと呼んでしまうことが多いのですが、GPSは正確には米国が開発したものを指します。GNSSにはほかにも、日本の準天頂衛星(QZSS)やロシアのGLONASS、欧州連合のGalileoなどがあります。

開発背景

GPSは、1970年代に米国が軍事目的で開発に着手しました。1990年代初めには運用が開始され、現在では30機以上の衛星が地球の衛星軌道を周回しています。当初民間では精度を落としたものを利用していましたが、2000年にアメリカのクリントン政権がGPSの精度を劣化させる措置を解除しています。

現在の役割

GPSが私たちの身近になったのは、なんといってもGPS式カーナビゲーションシステム(Automotive Navigation System)の登場でしょう。1980年代には、ジャイロと方向センサー、もしくは車速センサーと地磁気センサーを使ったカーナビゲーションシステムが発売されていましたが、GPSの運用開始とほぼ同時期に、GPS式のカーナビゲーションシステムが発売されています。

その後、GPS衛星からの信号を受け取る受信機およびアンテナの小型化が進みました。
現在では、携帯電話・スマートフォンやタブレット端末、スマートウォッチ、小型ゲーム機などにもGPSは搭載されるようになっています。自動車でのナビゲーションはもちろん、スマートフォン上の地図で自分の位置の確認、登山での経路誘導など、いまやGPSは私たちの生活に欠かせないものとなっています。

GPSで位置情報がわかる仕組みとは?

GPSは、どのような仕組みで位置を測定しているのでしょうか? 
直接目で見ることができない衛星からの電波で、なぜ即座に位置が割り出せるのかを説明します。

GPS衛星は、地上から約2万キロメートル上空の衛星軌道を周回しています。GPS衛星は地球の周りに30個以上あり、それぞれ6つの軌道を12時間で1周します。GPSはこれらの衛星のうち、4つの衛星から電波を受信して位置を計測しています。GPSの受信機は4つの衛星からの電波を受け取り、3次元測位という方法(計算)で位置を割り出します。このとき、受信機の位置は3つの衛星で、時間的なズレを4つ目の衛星で補正(誤差を少なくする)し、正確な位置を特定しています。
※測位の計算方法はほかにもありますが、3次元測位は代表的な方法です

GPSの電波が受信できないときは?

GPSは、4つ以上の衛星から電波を受信できれば位置の測定が行えます。

ただし、以下のような場合では測定が行えません。

  • 受信状態(電波状態)が悪い
  • 3つ以下の衛星からの電波しか受信できない

たとえば、高層ビル群の陰や建物の内部、地下街などでは、衛星からの電波を受けることができないのです。

しかしこのような場合でも、別の方法で位置測定が可能です。携帯電話やスマートフォンには、携帯基地局(携帯電話やスマートフォンの電波を受送信する設備)からの電波や、Wi-Fiスポットからの情報を元に位置情報の補正をする機能が備わっています。

携帯電話やスマートフォン、タブレット端末などを用いれば、GPSの電波が受信できない環境でも、ほかの通信機能を利用して位置測定ができるようになっているのです。

いまや身近となったGPSの利用例

上記のような仕組みでとても身近になったGPSは、どのような用途に使われているのでしょうか?

  • カーナビゲーション
    一般的に活用されている機器としては、かなり早くからGPSを使っているカーナビゲーションですが、現在ではタクシーやトラックにも搭載され、素早いルート検索や効率的な運行に用いられています。
    特にトラックを使う運送業では、いかに効率よく配達を行うかが地球環境保護のために求められており、GPSとAI(人工知能)を組み合わせた配送ルートの最適化システムなどが登場しています。
  • マップでのルート検索
    スマートフォンの普及で、マップアプリを使ったルート検索は一気に身近なものになりました。現在では知らない場所へ行く場合でも、現在地から目的地までのルート検索を素早く行うことができ、移動中も自分の位置を簡単に確認できます。これらはすべてGPS、もしくは携帯基地局やWi-Fiスポットからの電波を活用しているのです。
  • 健康増進や趣味
    ウォーキングやマラソン時の距離計測には、GPS内蔵のスマートウォッチを使うことがもはや常識となりつつあります。
    登山やハイキングでのルート検索では、GPS内蔵のスマートフォンがよく使われています。以前は登山専用のポータブルナビゲーション端末が使われていましたが、受信機の小型化によりスマートフォンが主流になりつつあるのです。
  • バス、タクシーといった交通機関の運行状況
    電車とは違い、バスはほかの車両の混雑状況に影響を受けて運行状況が変わります。このため一部のバス停留所では、目的のバスが今どこの停留所にいるのかを、GPSを使った位置測定で表示するようになっています。
    また、タクシーも配車のためにGPSを使っています。以前は顧客から配車要請があった場合、無線で近くにいる自社のタクシーに呼びかけ、顧客の居場所に向かえるかを問い合わせていました。現在では顧客の位置とタクシーの位置を端末上で確認し、一番近い空車のタクシーを向かわせるようなシステムとなっています。
  • 子どもや高齢者の見守り
    子どもに小型のGPS端末を持たせることにより、学校からの帰路や外出時の安全を確保しています。万が一、迷子や連れ去りにあった場合でも、位置情報検索により子どもの位置を確定することができます。また高齢者の場合も、GPSを内蔵したタグなどを使えば徘徊による行方不明に備えられます。
  • 混雑状況の可視化
    携帯電話やスマートフォンにGPSが搭載されたことにより、端末所有者本人の利便性が上がりました。
    また、企業がユーザーの同意を得たうえで、個人の位置情報を取得できるようになりました。たとえばコロナ禍でよく見るようになった、特定の場所の混雑状況測定や市街地における人の流れなどが把握できるようになったのです。
  • 商圏分析などのマーケティング
    上記のような個人の位置情報、特定の場所の混雑状況や人流の状況はマーケティングに用いることができます。
    GPSやそのほかの測位方法(携帯基地局、Wi-Fiスポット、ビーコンなど)を組み合わせることで、人の移動経路や移動履歴を把握できます。これらはほかの情報と組み合わせて分析することにより、来店促進施策(広告)の効果測定や商圏分析、競合分析などにも活用できます。

位置情報の活用は強力なマーケティングツールになる

もともとは軍事目的で開発されたGPSですが、いまや私たちの生活に欠かせない仕組みとなり、また強力なマーケティングツールにもなりつつあります。人の流れや行動履歴の把握は、いままで把握が難しかった屋外広告やテレビCMの効果測定も可能にします。効率的なマーケティング活動のためにも、位置情報を積極的に活用していきましょう。

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