Geo-Business BLOG

今更聞けない競合分析とは?マーケティングの武器として活用するための代表的なフレームワークと分析方法を紹介します

マーケティングでは市場において自社と他社を分析・比較する競合分析が必須です。ただ漫然と競合他社の商品やサービスを見ているだけでは分析にはなりません。競合分析の目的を理解して適切な方法で分析を行い、分析結果にもとづいたマーケティングや販促活動を行うことで、利益の増加につながるのです。競合分析について、概要や代表的なフレームワーク、適切な手順を説明します。

競合分析とは

競合分析とは、自社の直接的、間接的な競合他社を分析することです。

競合他社の強みや弱みを分析して自社との比較を行い、自社の成功につながる要因を導き出すために行います。新規事業立ち上げのときや、現在の事業の課題を発見して解決したいときなどに行われる、自社の競争力を上げるために欠かせません。

競合分析を行う過程で、自社の強みや弱み、特徴、競合他社との位置関係も明確になります。分析には後ほど紹介するフレームワークを活用していきますが、ツールを活用して効率的に実施することも可能です。

競合他社とは

競合他社には、大きく分けるとふたつの種類があります。

  • 直接的な競合他社:ターゲットも製品も自社と同じ場合
  • 間接的な競合他社:製品は異なるがターゲットが同じで、似たような価値を提供している場合

例えば、テレビ局の間接的な競合他社はインターネット動画配信会社、ダイエット食品を販売する会社の間接的な競合他社はスポーツジムといえます。正確な競合分析を行うには、間接的な競合他社まで考慮する必要があります。

競合分析では何を分析するのか

競合分析では、一般的には次のような項目を分析します。競合他社のどういう面を主に分析するかによって項目が異なったり、特定の側面だけを詳細に分析したりすることもあります。

  • ターゲット顧客の比較
  • 競合他社と比較した、自社製品やサービスの詳細
  • 競合他社の自社製品に対する優位性(差別化要因やユニークな付加価値)
  • 競合他社と自社製品の価格比較
  • 顧客による評価の違い
  • 現在の市場シェア、将来予測される市場シェア
  • SNSを含むマーケティング戦略の分析

なぜ必要なのか

競合他社をよく知ることは、自社の強みや弱み、価値を正しく理解することにもなるため、適切なマーケティング施策の実施が可能になります。つまり、競合分析を適切に行うことにより、競合他社より魅力的な商品やサービスを提供して自社の優位性を確立する機会が生まれ、利益を生み出せるのです。

競合分析のもっとも大きなメリットは、分析を通じて競合他社や市場を知り、自社製品を理解してうまく差別化を図れることです。これは競合分析の目的でもあります。

  • 客観的な情報や分析にもとづいたマーケティング戦略の策定が可能
  • 競合他社の動きから市場のニーズや業界のトレンドが把握できる
  • 自社製品の価値を把握し、適切な価格設定ができる
  • マーケティングのヒントを得られる
    例えば、新しいアプローチ方法、潜在的な顧客層、市場での空白地帯、新たなビジネスチャンスなど

競合分析の注意点

ただし、競合分析を行う際は、次のような点に注意が必要です。

  • 分析を行うだけでなく、分析結果にもとづいて行動を起こし、結果を出す必要がある
  • データ分析時には、確証バイアス(先入観)にもとづいてデータを解釈してしまいやすいため、先入観を捨ててデータを見る必要がある
  • 時間がたつと状況は変化するので、競合分析は一度ではなく定期的に行う必要がある

競合分析のフレームワーク

競合分析を行う際に使用される、代表的なフレームワークを4種類紹介します。

3C分析

3C分析は自社および自社を取り巻くマーケット環境を分析できるフレームワークです。

目的:市場・顧客、自社、競合のそれぞれを分析して、成功要因の発見につなげること

メリット: 「市場・顧客」「競合企業」「自社」を分けて分析することで、競合だけにとらわれずに、市場や自社の状況まで考慮した多面的な競合分析が可能になります。

  • Customer(市場・顧客)
    顧客の属性、顧客ニーズ、顧客の環境、自社の参入余地の有無、市場規模、市場成長性など
  • Competitor(競合)
    競合企業のシェア、顧客の評価、方向性、マーケティング戦略、リソース、特徴や強み、競合各社のシェア率、業界におけるポジション、新規参入や代替品の存在など
  • Company(自社)
    自社の現在の強み・弱みや特徴、顧客からの評価、企業理念やビジョン、リソース、シェア率、業界内でのポジションなど

最初に市場分析を行うことで、間接的な競合他社まで含めた競合分析が可能です。

4C分析

4C分析は顧客目線で分析を行うフレームワークです。

目的:購入までに顧客に影響する4大要素を分析し、サービスがどのような基準で顧客から選ばれるのかを考えます。

メリット:顧客自身に納得して自社の商品を選択してもらうことができます。

  • Customer Value(顧客価値)
    商品やサービスの価値や機能で、顧客が価値を感じるポイントはどこか
  • Cost(コスト)
    価格は顧客自身が納得して支払える金額か
  • Convenience(利便性)
    その商品やサービスを購入することで、顧客にとってどう便利になっているのか
  • Communication(コミュニケーション)
    顧客が知りたい情報が正しく届いているか

4C分析により顧客の考え方がわかりやすくなり、カスタマージャーニーを設計しやすくなります。

4P分析

4P分析は企業目線で分析を行うフレームワークです。

目的:自社製品を市場でどのように販売していくか、戦略を明確にすることです。顧客ニーズにあった商品を妥当な価格と適切な場所で販売するために、自社と競合他社の商品やマーケティング戦略を比較・分析します。

メリット:分析や戦略立案にあたり、漏れや重複がなく、網羅性の高い整理された思考が行えます。問題の発見や戦略立案が精緻、かつ効率的に実行できます。

  • Product(製品)
    商品そのもの(商品の機能、性能、デザイン、品質など)
  • Price(価格)
    商品の販売価格
  • Place(販売場所・提供方法)
    商品の販売場所、販売エリア、流通経路の種類や数、納品までの時間など
  • Promotion(販促)
    商品の販売促進(広報、PR、宣伝方法、ターゲットとのコミュニケーションなど)

自社がコントロールできる要素を基準にして、自社と競合他社を比較します。競合他社との比較がしやすく、課題の解決にも使われる方法です。ポイントは、4つの要素すべてがバランスのとれた状態にすることです。

SWOT分析

SWOT分析は内部環境や外部環境の自社への影響を分析するフレームワークです。

目的:企業や事業を取り巻く内部環境と外部環境を正しく把握し、強みや弱み、機会と脅威の4要素を使って客観的に分析することで、自社の事業課題や市場機会を見えやすくします。

メリット:競合他社に対する自社の強みや弱みを細かく洗い出すことができるほか、企業内部の要因だけではなく脅威や機会という外的要因までを取り込むことで、広い視野をもった戦略立案が可能になります。

  • 内部環境
    自社の強み(Strengths)と弱み(Weakness)を指します。
    例:ブランド力や資本、サービスの品質など
  • 外部環境
    自社ではなく、外部の機会(Opportunities)と脅威(Threats)を指します。
    例:競合企業や市場の動向、法律による規制など自社以外の要素

それぞれの要素を詳しく紹介します。SWOTは、次の4つの要素の頭文字です。

  • Strengths
    競合他社に対する自社の強み。独自の技術力、ブランド、開発力の高さ、生産能力など
  • Weakness
    競合他社に対する自社の弱み。資金力の低さ、知名度の低さ、販売チャネルの少なさなど
  • Opportunities
    機会。外部要因のなかでポジティブなもの。市場の流れ、景気の回復、顧客ニーズの高まりや認知度向上、ほかにはない商品の開発など
  • Threats
    脅威。外部要因のなかでネガティブなもの。競合他社、強力な新規参入、需要の有無、景気の後退、原材料費の高騰、顧客のニーズの低下など

上記4つのうち、主にStrengthsとWeaknessは自社の内部環境、OpportunitiesとThreatsは外部環境に起因します。

SWOT分析を行うときは、最初に外部環境を分析して比較対象となる競合他社を明確にします。そのあとで内部環境を分析することによって、比較対象となる項目を可視化できます。

なお、さらにそのあとでクロスSWOT分析を行うと、新しい戦略を発見できます。クロスSWOT分析とは、強み×機会、強み×脅威、弱み×機会、弱み×脅威など、SWOT分析の要素を掛け合わせて分析する方法です。

競合分析のやり方

あくまで一例ではありますが、フレームワークを組み合わせた実践的な競合分析の方法を紹介します。

  1. 市場調査と競合他社の選定(3C分析)
    3C分析で市場を調査し、市場の規模、成長性、政治や経済による影響、顧客の属性やニーズ・課題などを分析します。現状ではなく、将来の予測を立てることに注意しましょう。
    市場調査により、間接的な競合他社も洗い出すことができます。
  2. 競合他社の分析(3C分析)
    3C分析で競合他社を分析します。ポイントは、競合他社の現状(現在の成果)と、そこに至った理由です。
    競合他社の売上額や利益率、新規契約の受注数などを推測し、社員数、開発にかかった工数、販売までのルート、営業の手法などを調査します。
  3. 自社の分析(3C分析、SWOT分析)
    3C分析とSWOT分析で、自社とその現状を分析します。
    主な項目は製品の特徴、価格、性能、デザイン、サポート、品質、売上、シェア、保有リソース(人員、設備、資本)、マーケティングなどです。
  4. 自社と競合を比較する(SWOT分析、クロスSWOT分析)
    SWOT分析で可視化した自社の強みや弱み、機会や脅威を組み合わせてクロスSWOT分析を行い、競合他社と比較します。自社のポジションを把握することが可能です。
  5. マーケティング戦略を練る(4C分析、4P分析)
    4C分析と4P分析で、効果的なマーケティング戦略や施策を組み立てます。

ツールを使うと分析しやすい

競合分析は非常に重要ですが、データの集計や分析をすべて目視や手作業で行うのは困難です。マーケティングや競合分析には、さまざまなツールが提供されています。社内だけでは多様な分析を行うことが難しくても、分析ツールを使用することで、容易に効果的な分析が可能です。

ECサイトであればWebサイトの分析を行い、実店舗の場合は位置情報や人流データを競合分析に活用するとより効果的です。ツールによっては、順位変動や急激な変化が起こったときにメール通知してくれるものもあり、24時間モニタリングする必要もありません。空いた時間はほかのマーケティング施策やカスタマーサクセスなどに利用できるので、人件費と工数削減に役立つでしょう。

競合分析は利益を上げるためには不可欠

競合分析を行うことで、自社の強みや弱み、特徴、他社と差別化できる部分を可視化できます。また、市場などの外部環境や、競合他社の強みや弱みについても把握できます。これらは、店舗の設立や運営で利益を上げていくためには不可欠な要素です。

競合分析にはさまざまなデータを利用します。統計データやWebサイトからわかること、自社が独自に調査した結果などです。実店舗の場合は実際に来店してもらうことも重要なので、位置情報や人流データを利用するとより効果的です。位置情報を活用した競合分析を行うことで、マーケティング活動の効果をさらに高められます。しかし、位置情報データの取得やその分析は、自社だけでは難しい場合も多いでしょう。

株式会社ブログウォッチャーが提供するスマートフォン向け位置情報データサービス「プロファイルパスポート」は、マーケティング活動に効果的に活用できます。特に「プロファイルパスポートDMP」は、位置情報データを蓄積・分析、データ連携、可視化が可能なプラットフォームです。スマートフォンを利用して、ビジネス価値の高い位置情報をもとに、さまざまなマーケティング戦略を実施できます。詳しくは、次のページをご覧ください。

位置情報サービス プロファイルパスポートDMP|株式会社ブログウォッチャー