インバウンド需要はどうなっている?人流データを活用したマーケティング方法とは
コロナ禍を経て、最近はまた外国人観光客が増えてきています。少子高齢化が進んで内需が縮小するなか、外国人観光客の経済活動は国内経済に大きな影響力があります。また近年は円安が進んでいることもあり、外国人観光客による消費がますます活発になっているのも期待される要因です。
しかし外国人観光客と国内消費者の行動パターンや感覚には、異なる点もたくさんあります。そのため、インバウンド需要をうまく取り込むには、国内市場向けとは異なるマーケティングが必要です。
この記事では、インバウンド需要を獲得するための課題やポイントを紹介します。
インバウンド需要の推移
コロナ禍までは、外国人観光客による消費額はずっと拡大傾向にありました。しかしコロナ禍の発生した2020年以降、各国で移動制限が行われたこともあり、大きく減少しています。
2022年には水際対策の緩和が行われ、日本でも外国人観光客が再び増加してきました。そこで、インバウンド需要もまた伸びてきたのです。
2023年には、外国人観光客による消費額は以前よりも大きな額になっています。
引用元:【訪日外国人消費動向調査】2023年7-9月期の全国調査結果(1次速報)の概要
また、日本各地の外国人旅行者数もほぼコロナ前の水準に戻りつつあります。
引用元:都道府県別訪日外客数と訪問率:9月レポート No.52|一般財団法人 アジア太平洋研究所
出典:観光庁「宿泊旅行統計調査」より
インバウンド需要が注目される理由
インバウンド需要が注目されるのには、次のような理由があります。
- 観光庁による推進
観光庁が「観光庁アクションプラン」として、外国人観光客の誘致を行っていました。これは2020年までの計画でしたが、2023年には「新時代のインバウンド拡大アクションプラン」として、さらに拡大を図る計画を策定しています。
新時代のインバウンド拡大アクションプラン|観光庁 - 訪日外国人観光客の増加
コロナ禍でいったん減少していた外国人観光客がまた増えてきており、インバウンドによる消費も再び期待されるようになってきました。
引用元:データ一覧 | 日本の観光統計データ 出典:日本政府観光局(JNTO)
- 円安の影響
2022年ごろから大幅に円安が進み、訪日外国人にとって日本での買い物・宿泊がかなり割安になっています。そのため、日本での消費額が増える傾向にあります。 - 自治体や民間でのインバウンド推進
観光庁だけでなく自治体や民間企業でも、地元経済の活性化につながるとしてインバウンド需要の獲得を推進しています。これは、少子高齢化により、日本人による需要だけでは市場が縮小する一方であることが原因です。外国人観光客による消費を増やすことでこの縮小トレンドを補い、成長につなげることが期待されています。
インバウンド需要への対策のポイント
インバウンド需要をうまく取り込んで成長するには、次のような対策が必要です。
トレンドやその変化を押さえること
最近のインバウンド需要のトレンドは、非常につかみにくくなっています。理由は次のようなものです。
- 「モノ消費」から「コト消費」に移行していること
- 誰もが同じ観光地やショップに行くのではなく、ニーズが細分化していること
- リピーターが増えてニーズが多様化していること
そこで、現在どのような観光地、食べ物、お土産などが外国人観光客に受けているのか、常に情報収集することが重要になります。日本人とはニーズや感覚が異なるので、外国人観光客自身の行動や発信をもとに情報収集するのがポイントです。
外国人観光客の行動パターンを押さえること
ニーズをつかむとともに、日本人と異なる行動パターンを知ることも必要になります。観光客は国や文化、生活スタイルがそれぞれ異なるため、朝が遅かったり、夜も遊ぶ場所を探したりとさまざまな行動パターンが考えられます。
- どの季節にどの国からの外国人観光客が多いのか
- どの国の観光客がどう行動するのか
- 観光客はどの時間帯に行動するのか
こちらも、常に外国人観光客自身の行動や発信をもとに情報収集する必要があります。
情報発信をデジタル化して最適化すること
外国人観光客にうまく見つけてもらうには、効果的な情報発信が必要です。そのためには次のような手段をうまく連動させ、適切な情報発信を行わなければなりません。
- 観光地やホテルなどの公式サイトおよび各種SNS
- SNSで見られるユーザーの口コミへのリアクション
- 現地で配布するフライヤー、観光ガイド
- 現地の看板、店内の表示
これらの情報発信でうまく情報を届けるポイントは、次の3つです。
- 多言語対応
- こまめな更新、リアクション
- 魅力的な動画
こうすることで、地元の良いところ、魅力的な商品、コンテンツなどを十分にアピールできます。また、SNSでは外国人観光客とコミュニケーションを取ることも容易です。これで外国人観光客に受けるポイントや魅力について情報収集し、可視化することができます。
また、情報発信だけでなく、現地での予約や手続きもできるだけデジタル化し、多言語化しておくことが重要です。例えば、次のような事項への対応が必要です。
- 宿泊の手続きや決済
- 交通機関の予約や決済
- 観光スポットの予約や決済
- レストランの予約や決済
これらをデジタル化することで、外国人観光客にもわかりやすく十分な情報を伝えることができ、対応もしやすくなります。従来のような窓口で日本語のみで対応するのでは、外国人観光客を誘致しにくいものです。
観光分野のデジタルマーケティングについては、次の記事も参考にしてください。
「観光マーケティングとは?データを活用した観光客誘致とそのポイント」
「【自治体・観光事業者必見】観光分野でデータはどのように役立つのか?人流データでできる3つのポイント」
インバウンド対策に必要な観光データ活用で見るべきポイント
上で挙げたようなポイントを押さえてインバウンド対策を行うなら、外国人観光客が地元に滞在する間、いつ、どこで、どんな行動を取っているのかなどのデータが必要です。
そのためには観光データ、特に、次のようなデータの活用がポイントになります。
どの国籍の人が・どれだけ・いつ・どこに来ているか(基本分析)
観光客がどこから来たのかを分析します。
- 来訪しているエリア(都道府県/市区町村)
- 外国人観光客の国籍
どのルートで周遊しているか(広域ルート分析・前後分析)
国籍ごとに日本をどのように周遊しているかを分析します。
- 都道府県単位の周遊ルート分析
- 滞在した直前直後の市区町村分析
どんな観光スポット・観光ジャンルに来ているのか(スポット分析・メッシュ分析)
観光客がどんなスポットを来訪しているのかを知るため、次のようなデータを分析します。
- 特定スポットの来訪者数
- 観光ジャンルの人気分析
観光データの収集・可視化をサポートする「おでかけウォッチャー」とは?
観光データを収集するため、従来はオープンデータや業界ごとのランキング、現場の実感などが使われてきました。
しかし、より正確かつ緻密に実態を知るためには、人流データを利用した観光データの活用が必要です。上に挙げたようなデータを組み合わせることで、外国人観光客の行動を可視化し、より緻密で効果的な需要分析を行うことができます。それによって、より的確なインバウンド需要対策が可能になるからです。
そのためには、観光データを収集・分析して可視化できる「おでかけウォッチャー」のようなツールの活用も役立ちます。
- 『デジタル観光統計』を身近に
自治体観光客分析に特化した人流モニタリングツールの決定版でもあるおでかけウォッチャーは、「『デジタル観光統計』を身近に」というコンセプトを掲げており、誰もが簡単に活用できるようなツールを目指しています。 - どんなことに役立つのか?
- 準リアルタイムに更新される、圧倒的に多く、正確なデータを利用できる
- 多彩なフィルタリングやグラフィカルな分析結果など分析機能が使いやすい
- リーズナブルな価格で、都市部だけでなく地域の観光DX推進をサポートする
- どんな機能があるのか?
- 基本サービス:来訪地分析(市区町村:ご希望の観光スポット20カ所の集計値、観光スポット:ご希望の観光スポット3カ所の個別値)
- プレミアムサービス:来訪地分析、発地分析、属性分析、前後周遊分析、旅程分析、時間分析
その他、レポート作成やデータ分析システム受託開発、データ提供、広告配信等のオプションサービスがあります。
このようなツールを活用することで、効果的に観光データを確認・分析することが可能です。
※上記の内容はおでかけウォッチャー(国内版・訪日版)に共通する説明となります。おでかけウォッチャー(訪日版)は、2024年度4月以降に正式リリースを予定しています。詳細については、お問い合わせください。
まとめ:インバウンド需要に対応するには観光データの分析が可能な「おでかけウォッチャー」の活用を
インバウンド需要を理解し対応するためには、従来のマーケティング手法では不十分なところも多いでしょう。データ収集の対象となるのは外国人観光客であり、日本人観光客とはニーズや感覚に違いがあるからです。
外国人観光客の行動分析で重要なのが、彼らの行動パターンを示すさまざまなデータです。来訪地分析や発地分析、属性分析、前後周遊分析などのデータを組み合わせることで、より詳細に知ることができます。
しかし、企業や自治体だけでこれらの観光データを十分に取得・分析するのは難しいでしょう。データの取得・分析には専門的なノウハウと知見が必要です。
そこで、ブログウォッチャーのおでかけウォッチャーをおすすめします。事前に許諾を得た訪日外国人から収集した人流データを、地域観光戦略策定に適した形式の統計データに加工、データ納品やレポート作成、ダッシュボード組み込みなど、さまざまな納品形式に対応できるように開発が進められています。外国人観光客の行動パターンをつかみ、適切なインバウンド対策を行うには必須のツールと言えるでしょう。
インバウンド対策にお悩みのご担当者の方は、ぜひご相談ください。