最近よく聞くオルタナティブデータとは?新たなデータを活用することでマーケティングを推進しよう
オルタナティブデータ(Alternative Data)は、これまで主に金融分野で活用されていました。
しかしここ数年、マーケティングの分野でも活用範囲が広がっています。これまでマーケティングで使われていたのは、主に統計データや決算データなどのトラディショナルデータ(Traditional Data)でした。現在はオルタナティブデータを活用してこれまでになかった知見を入手し、より大きな効果を上げる企業が増えてきています。
たとえば、多くの企業がSNSをマーケティングの参考にしたことはあると思いますが、それもオルタナティブデータ活用の一例です。ここでは、オルタナティブデータの概要やメリット、活用方法やその課題について説明します。
オルタナティブデータとは
オルタナティブデータとは、人工知能(AI)や機械学習(ML)などの技術向上に伴って収集、分析が可能になったデータを指し、代替データ、非伝統的データ、高頻度データともいいます。
統計データや決算データといったトラディショナルデータ以外のデータ、たとえばIoT機器やSNS、衛星画像などから得られるデータもオルタナティブデータに含まれます。
近年は民間企業がさまざまなデータを提供しており、他社と同じデータではなく、事業の特性に合わせたオルタナティブデータを利用して分析する企業が増えてきました。
オルタナティブデータのメリットとトラディショナルデータとの違い
オルタナティブデータのメリット、さらにトラディショナルデータの違いについてみていきましょう。
オルタナティブデータには、次のようなメリットがあります。
- 技術の進歩により、デジタル上でのデータの収集・分析が可能になったため、ほかのデータと組み合わせて使いやすい
- 民間企業が提供しているので、鮮度がよくきめ細かいデータであることが多く、それをもとに迅速な意思決定をしやすい
- 他社にはないデータの利用や分析により、大きな効果を上げることができる
- IoT(モノのインターネット)を利用して粒度の細かい、膨大な量のデジタルデータ(ビッグデータ)を入手できるため、人工知能(AI)で分析しやすい
- 粒度の細かいデータが多いため、大きな流れよりも、局所的な判断に向いている
- 粒度の細かいデータでは、消費者の細かい動向やニーズに気づくことができる
トラディショナルデータ | オルタナティブデータ |
政府や企業が公式に発表するデータ統計データ、指標、決算・財務情報、経済統計など形式が決まっているものが多い | 民間企業が提供するデータ内容はさまざまで個別性が高い不定形のデジタルデータ |
調査あるいは集計されてから発表されるのに数ヶ月はかかり、数ヶ月から数年に一度公表される | 即時性が高く、高頻度で入手できる |
マクロなデータ | 粒度の細かい、詳細なデータ |
オルタナティブデータの例
次のようなものがオルタナティブデータとして扱われます。
- POSデータ、クレジットカードの決済情報、レシートデータなどの消費者購買データ
- Wi-Fi、Bluetooth、GPSなどの位置情報、衛星画像、気象情報
- ニュースの記事(テキスト)、SNSデータ、求人情報
- Webサイトのトラフィック、Webスクレイピングデータ
- スマートフォンアプリの利用状況、ログ
オルタナティブデータが注目されている理由
近年、オルタナティブデータが注目されており、ビジネスへの活用が進んでいます。
そこには、3つの理由があります。
- 活用の場の拡大
スマートフォンの位置情報やクレジットカードの決済情報、POSデータ、SNS、気象情報、衛星画像などがビッグデータ解析され、人々の行動や企業の業績を予測するのに活用されはじめた
- 利用のしやすさ
オルタナティブデータを収集・蓄積・加工し、サービスとして企業や金融機関、投資家に提供するデータプロバイダも増加してきた
- 企業や事業にとっての価値
消費者動向やトレンドになっているデータを経営に活かして利益を伸ばす会社が増え、オルタナティブデータを活用すれば、大きく業績を伸ばせることが認知されてきた
活用の場の拡大
オルタナティブデータは、従来、欧米のヘッジファンドや金融業界を中心に利用されてきました。
一方、日本でも、2020年から始まった新型コロナウイルス流行以降、利用が拡大しています。コロナ禍でライフスタイルが急激に変化し、経済・社会情勢の先行きが不透明になるなか、従来の統計調査ではないデータを見て投資に利用する動きが活発になっているのです。
最近は投資だけでなく、マーケティングにもオルタナティブデータが利用されるようになっています。
2021年2月には、オルタナティブデータの利活用を目的として一般社団法人オルタナティブデータ推進協議会が発足しました。今後も業界を問わず、オルタナティブデータの利用は広がると予測されています。
利用のしやすさ
AIやIoTの進化、コンピュータの性能向上、クラウドサービスの普及などを背景に、ビッグデータを比較的容易に収集・蓄積・分析できるようになってきました。そのため、個人の経験や知見に関係なく、オルタナティブデータの入手や分析が可能になっているのです。
企業や事業にとっての価値
オルタナティブデータとして、自社独自のデータを入手することもできます。こうしたデータは、投資判断やマーケティングに非常に効果的です。データの独自入手や分析により、トラディショナルデータからでは得られない知見を得られること、それによって大きく業績を伸ばせることが認知されてきました。
オルタナティブデータの活用シーン
オルタナティブデータは、次のような分野で活用することができます。
エリアマーケティング×位置情報
位置情報やPOSデータなどのオルタナティブデータを地図データと組み合わせ、滞在人口の推移や集客状況を可視化できます。
*位置情報を活用したマーケティング手法については、「位置情報マーケティングがビジネスを加速させる!その効果と注目される理由とは?」を参照ください
Webマーケティング
Webサイトのトラフィックや検索件数、SNSの有名人やインフルエンサーの発言からトレンドを把握し、既存商品の販売促進や新規企画に生かすことができます。
また、Webスクレイピングデータ(Webから抽出したデータ)で商品・企業ごとの業績を把握し、分析することも可能です。
小売業・飲食業
POSデータや各種SNSの口コミからニーズを細かく分析し、ターゲット層に向けて適切な商品を提供できます。
オルタナティブデータ活用の課題
ただし、オルタナティブデータの活用はまだ始まったばかりです。そのため、次のような課題があります。
- 活用事例の不足
まだ参考にできる具体的な事例が少なく、どんなデータをどう使えばよいのかわからない - 人材不足
オルタナティブデータを分析・活用できる人材が少ない - 予算不足
経営層のオルタナティブデータに対する認知度が低く、サーバーやソフトウェアの整備、人材確保のための予算が出ない
オルタナティブデータの購入費用が高額 - コンプライアンスへの不安
購入したデータが法的に問題ないのか、入手元がどこなのかなどの懸念がある
オルタナティブデータを駆使してトレンドを取り入れたマーケティング施策を実行しよう
マーケティングには、鮮度の高いデータやターゲットを特定したデータの収集・分析が不可欠です。SNSやWebトラフィックデータなどのオルタナティブデータを活用すれば、新しいトレンドを把握し、新商品やサービスを提供することができます。オルタナティブデータの活用はこれからますます進むでしょう。
特に実店舗では、位置情報のデータを活用することで、より精度の高い商圏分析や競合分析を行い、利益拡大につなげることが可能です。しかし、位置情報データの取得やその分析には、専門家の力が必要です。
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