OOH(屋外広告)は、長期間同じクリエイティブを掲示するため、効果検証が難しいとされてきました。しかし、近年はデジタル化が進み、効果検証が可能な広告へと進化しています。今回は、従来のOOHとDOOHの違い、DOOHのメリットとデメリット、さらに進化したプログラマティックDOOHや位置情報データとの連携による効果測定について解説します。DOOHとOOHの違いはじめにOOHとは何か、DOOHとはどのように違うのかについて確認しておきましょう。OOHとは「Out of Home」の略で、屋外広告全般のことを指します。具体的には、繁華街や駅の街頭ビジョン、看板広告、電車内の交通広告、ラッピングカーなど、屋外で人々の目に触れるあらゆる広告が含まれます。一方、DOOHは「Digital Out of Home」の略で、OOHの中でもデジタルサイネージを利用したものを総称しています。DOOH広告の仕組みDOOH広告とは、デジタル技術を活用した屋外広告であり、その仕組みは主に3つの種類に分けられます。・スタンドアロン型USBなどの外部デバイスから広告データを直接表示する方法で、小規模な看板に用いられますが、頻繁な更新には不向きです。・ネットワーク型DOOHがインターネットに接続され、リアルタイムで広告データの配信や更新を行う仕組みで、大型ビジョンなどで多く採用され、プログラマティックDOOHでも活用されます。・インタラクティブ型タッチパネルなどを介して視聴者が広告と直接対話できる仕組みです。これらの広告の仕組みによって、DOOH広告は柔軟な運用と高い視認性を実現しています。DOOHのメリットとデメリットDOOHには、従来のOOHにはなかった多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。DOOHのメリットDOOHは、デジタル技術を最大限に活用することで、従来のOOHが抱えていた課題を解決します。・柔軟なコンテンツ変更:ターゲットや時間帯、シチュエーションに合わせて広告内容を柔軟に変更できます。例えば、朝はビジネスパーソン向けのニュース、夜は飲食店情報など、時間帯に応じて切り替えることで、より効果的な情報提供が可能です。・高い視認性:輝度の高いディスプレイを使用しているため、太陽の位置や天候に左右されず、広告が鮮明に表示されます。これにより、多くの人々の目に留まりやすくなります。・高い収益性:複数の企業からの広告出稿を受けられるため、広告を設置している事業者にとって収益性が高い広告媒体でもあります。このように、柔軟なコンテンツ変更、高い視認性、そして高い収益性といった特徴を持つDOOHは、OOHの中でも近年急速に普及している広告手法です。従来のOOHが抱えていた、広告内容の変更や更新が困難である点、効果検証が難しいといった課題を解決できる、革新的な広告手法として、多くの企業から注目を集めています。【参考記事】OOHの効果測定ができる!?今まで難しかった効果検証が位置情報データを活用することで分析可能に!DOOHのデメリットDOOH広告は多くのメリットを持つ一方で、いくつかのデメリットも存在します。・導入コストの高さ:デジタルサイネージの設置には、ディスプレイ本体だけでなく、設置工事費やコンテンツ制作費、ネットワーク接続費用など、初期費用が高額になりがちです。特に大型のビジョンや複数箇所への設置を検討する場合、その費用は従来の紙媒体の広告と比較して大幅に増加します。この初期投資の高さは、特に中小企業にとって大きな負担となる可能性があります。・技術的なトラブルのリスク:デジタル機器であるため、システムの不具合やネットワーク障害、機器の故障といったトラブルが発生する可能性があります。例えば、ディスプレイが突然真っ暗になったり、表示されるはずのコンテンツが更新されなかったりする事態も想定されます。これらのトラブルが発生すると、広告が配信できなくなるだけでなく、企業のイメージダウンにつながる恐れもあります。また、サイバー攻撃による情報漏洩や改ざんのリスクも考慮する必要があるでしょう。・コンテンツ制作の負担:柔軟なコンテンツ変更が可能な反面、常に新鮮で魅力的なコンテンツを制作し続ける必要があります。動画やアニメーションは視覚的なインパクトが大きい反面、制作に時間とコストがかかります。また、頻繁にコンテンツを切り替える運用には、管理体制や人的リソースの確保も課題となります。OOHのメリット・デメリットでは、DOOHの登場以前の、従来のOOHにはどのようなメリットとデメリットがあったのでしょうか。OOHのメリット・高いリーチ力:交通機関の利用者や街を歩く人々など、多くの人の目に触れる機会が多く、広告を届ける力(リーチ力)が非常に高いのが特徴です。テレビを見る、雑誌を読むなどの能動的な行動をしていなくても、自然に広告を受け入れてもらうことができます。・制限が少ない:TVCMや紙媒体と異なり、時間的な制限や紙面の制限が少なく、比較的自由に掲載できる場合が多いです。・ターゲットを限定できる:特定の場所(駅や空港、電車内など)に出稿することで、ある程度ターゲットを限定できます。OOHのデメリット・効果検証の難しさ:OOHの最大のデメリットは、何人に広告が届き、どの程度の効果があったかを詳細に把握しにくいことです。看板広告などは、長期間掲示してもその効果が分かりづらいという課題がありました。・広告の費用対効果を検証しにくい:効果が分かりづらいため、掲示を継続することで効果が上がるのかどうか、費用対効果が適切かを判断するのが困難です。進化するDOOH従来のOOHが抱えていた「効果測定の難しさ」という課題は、DOOHの進化によって解決されつつあります。進化系DOOHとプログラマティックDOOHデジタル屋外広告(DOOH)は、デジタル技術の進化により、周囲の状況に応じて広告内容を動的に変化させるDDOOH(ダイナミックDOOH)へと進化を遂げています。カメラやセンサーが周辺のリアルタイムな状況を捉え、自動的に最適な広告を配信する仕組みです。例えば、電車の混雑状況や乗客の性別・年齢層に応じた広告の最適化が可能です。さらに、オンライン広告の仕組みを取り入れたプログラマティックDOOHも登場しています。これは、オンライン広告で使われるDSP(Demand Side Platform)というシステムを通じて、広告枠の買い付けを自動化する仕組みです。リアルタイムのデータに基づいて、エリアやユーザーデータに合わせた詳細なターゲティングが可能となり、最適な広告を適切なタイミングで配信できます。これにより、広告主は複数のビジョンに一括で入札・購入できるようになり、効率的な広告運用が実現します。位置情報データとの連携で広告の効果測定が可能にこのように進化を続けるOOH、特にDOOHやDDOOHの広告効果測定は、位置情報データと連携することにより効果的に行うことが可能となります。DOOHやDDOOHに接した消費者の位置情報データと行動履歴情報を組み合わせて分析すれば、視聴後に実店舗に訪れたか、商品の購買に至ったかどうかなどの情報を得ることができます。従来のOOHは広告の効果を得ることが困難でしたが、位置情報データを利用すれば、精度の高い広告効果測定が可能になります。まとめ:位置情報データと行動履歴情報を組み合わせれば高精度の効果測定が可能になる無理やりな広告配信がユーザーに嫌気されてしまうことも多い昨今、自然に何度もユーザーの目に入るOOHの効果はとても大きいものです。しかし、OOHの最大の弱点は、広告効果の測定が困難であることでした。しかし、近年のデジタル化によりOOHはDOOHへと進化し、位置情報データと連携することで効果測定が容易になりました。さらにDDOOH、プログラマティックDOOHへと進化を遂げたOOHは、よりパーソナライズされた広告配信と精度の高い効果測定を実現しています。例えば、ブログウォッチャーが提供するスマートフォン向け位置情報データサービス「プロファイルパスポート」を活用すれば、ユーザーの行動履歴情報を可視化し、OOH広告に接触したユーザーが実際に店舗に足を運んだかといった詳細な行動を分析できます。これにより、広告の費用対効果を明確に測定し、より効果的なOOH広告戦略を立案することが可能です。位置情報データの分析やマーケティングへの活用方法など、具体的なご相談はぜひブログウォッチャーまでお問い合わせください。弊社サービス「Profile Passport AD」について弊社では、特定のターゲット層に対して効果的にアプローチする手法として、ジオターゲティング広告を提供しています。ジオターゲティング広告は、広告を配布したユーザが実際に店舗に来店したのかどうかを可視化することが可能なため、チラシ配布などと比較して、効率的な集客プランニングが可能です。詳しいサービスについては、こちらのサービスページをご覧ください。